ソニー上場子会社の戦略に変化

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ソニーが上場子会社ソネット(so-net)の完全子会社化に乗り出した。親子上場は、利益が流出するという批判が根強くあるが、ソニーの主要な資金調達源の一つであった。他の、上場子会社についても完全子会社化に乗り出すのかどうか注目かもしれない。


ソネット上場廃止へ

ソニー、ソネットエンタテインメントを株式交換で完全子会社化
2012年12月4日 20:51
ソニーとソネットエンタテインメントは4日、ソニーを株式交換完全親会社とし、ソネットを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことをそれぞれ決定し、両社間で株式交換契約を締結したと発表した。なお、株式交換の効力発生日に先立つ2012年12月26日に、ソネットの普通株式は上場廃止(最終売買日は2012年12月25日)となる予定。
ソニーがソネットの完全子会社化を決めたようだ。

ソニーは、ソネットのTOBを発表。株式の公開買い付けにより、ソニーが子会社保有分と合わせて95%以上の株式を保有したが、完全子会社化はできていなかった。


株式交換で完全子会社化

ソニーは、ソネットをソニーの完全子会社とすることを企図しており、公開買付けによりソニーはソネットの普通株式の全てを取得できなかったことから、ソニー及びソネットは今回、株式交換によりソネットをソニーの完全子会社とすることを決定した。
これまで、ソニーは子会社を上場させることで、資金調達を行ってきた。では、なぜ親子上場をやめることを考えたのか、ソニーのプレスリリースを見てみよう。

グループのシナジーを重視

ソニーは2012年8月19日に、ソネットエンタテインメント株式会社株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせとして、プレスリリースによりTOBを発表している。それについて見てみよう。

コンテンツ資産の積極的な活用

具体的な取り組みの一つとして、当社では、米国に本拠をおく、Sony Network Entertainment International LLC(以下「SNEI」といいます。)を当社自身が運営するネットワーク事業の中心に位置付けておりますが、SNEIの提供するサービスを強化・成長させていくために、当社の様々なハードとの連携や当社グループが既に保有している映画、音楽、ゲームといったコンテンツ資産の積極的な活用に加え、お客様にとって魅力的で新しいメディア・エンタテイメントコンテンツを開発・拡充していくことが重要となっております。 
ソニーの発表では、グループのコンテンツ資産の積極的な活用と、開発・拡充の重要性を指摘している。ソネット公開買い付けの位置づけについて、下記のように述べている。

モバイル事業の強化と、事業展開の迅速化

特に、コア領域の一つとして定めているモバイル事業においては、この重要性が大変高いものとなっております。対象者とは、これまでも当社グループの一員として、対象者が開発したサービスを当社のハードに搭載する等、様々な連携を図ってまいりましたが、この連携を一層強化しスピーディな事業展開を行っていくことが、益々重要になっております。
どうやら、ソニーはモバイル事業に力点を置く為に、親子上場の解消に動いたようだ。では、どういった事を実現するとしているのかプレスリリースを細かく見てみよう。

想定するシナジー

  • ① 対象者の通信サービス構築、顧客獲得、運営ノウハウ、及び対象者が有するバックボーン、データセンター等のインフラを当社グループ内で広く活用し、当社グループ内の各種ネットワークサービスをより強固なものとするとともに、日本及びアジアにおけるクラウドサービスやインタラクティブなエンタテインメント体験の構築に寄与する。
  • ② 対象者の子会社等に代表される、新規インターネット事業インキュベーションのノウハウを活用することにより、当社グループ内における新たなネットワークサービスの創出、成長を加速させる。
  • ③ 当社が開発する各種モバイル機器・ネットワーク対応機器において、当社と対象者が商品・サービス開発の初期段階から連携することで、多様化するお客様のニーズに応じたきめ細かい商品・サービスの提供を可能とし、収益機会の拡大を図る。
  • ④ 当社の販売網やユーザーベースの活用等を通じ、対象者の顧客獲得力の一層の強化を図るとともに、当社の商品と対象者のネットワークサービスを組み合わせた特徴あるソリューションの提供を行う。
  • ⑤ 対象者において、LTEを始めとする先端のネットワーク技術を用いたサービスを提供し、当社が今後開発していく最先端のネットワーク対応機器と組み合わせていくことで、競合他社との差異化を図る。
  • ⑥ 対象者の通信サービス基盤、クラウドサービス等を当社グループ内で広く活用することにより、当社グループ全体としてのコスト削減効果に寄与する。
  • ⑦ 対象者グループの医療ヘルスケア分野におけるマーケティング支援事業を営む上場会社であるエムスリーについては、経営の自主性・中立性を尊重しつつ、当社グループとして、医療機関向けクラウドサービス、消費者向け医療ポータルサービス、健康志向のコンシューマー・エレクトロニクス製品の共同開発等の分野での協業可能性を積極的に検討していく。
少し長いが、プレスリリースでソニーがソネットとのシナジー効果として、主張している内容だ。簡単にまとめると下記のようになるであろう。
  1. グループ内のネットワークサービスの連携
  2. 商品開発のフロントローディング
  3. グループ内連携によるコスト削減
ソネットの上場は、2005年であり、10年も経たずに子会社に再度戻る。ソニーは、子会社を積極的に上場させることで、業績悪化の中でも資金を調達してきた。ソネット以外の、他の上場子会社についても完全子会社化を行うのかどうか、注目かもしれない。
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