ソニーCBの資金使途と苦境

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ソニーが転換社債1500億円の発行を既に決めたが、CBの資金使途を見ると、経営の苦しさを見て取ることができる。ゴールドマンサックス証券が転換社債の加工を発表しており、思わぬ副作用が既に現れている。


転換社債発行は株価に下落圧力

経営再建中のソニーであるが、転換社債の発行を発表している。転換社債の発行は、株数の増加懸念により株価に対して下落の圧力がかかる。ソニーは業績悪化により株価が低迷しているが、ゴールドマンサックス証券は、この発表からしばらくしてソニー株価の今後の予想について引き下げている。

では、ソニーが発行した転換社債の資金使途について、11月のロイターの記事を見てみよう。

海外中心にCBで調達

ソニーがCBで1500億円を調達、中核事業の設備投資に600億円
2012年 11月 14日 16:45 JST
[東京 14日 ロイター] ソニーは14日、転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行で1500億円を調達すると発表した。中核事業の設備投資に600億円、医療事業の強化を目的に資本業務提携で合意したオリンパスへの出資原資にも一部を充当する。
ソニーは、中核事業の設備投資やオリンパスへの出資原資に充当するとなっているが、資金使途を細かく見るとソニーの苦境が透けて見える。

一部を社債の償還原資に充当

600億円は長崎のCMOSイメージセンサーの生産能力増強の設備投資に充てる。今年9月にオリンパスとの間で合意した医療事業の強化に伴う資本業務提携で、ソニーはオリンパスに500億円を出資するが、今回調達する資金を原資にする。ソニーは医療事業の売上高を2020年に2000億円以上にする方針を表明している。また、3月に償還を迎える社債(350億円)の償還原資としても300億円を充てる。
ソニーの転換社債の資金使途について、数字がでているがそれについて見てみよう。
  • 長崎のCMOSイメージセンサーの生産能力増強の設備投資に600億円
  • オリンパスに出資する500億円の原資に一部
  • 社債(350億円)の償還原資としても300億円
特に気になるのは、社債の償還原資に転換社債で調達した資金を用いる点だ。フィッチが、ソニー格付が、倒産危機である事を格下げで意識させており、社債での資金調達が困難であったのであろう。社債の償還資金を、株価下落圧力のかかる転換社債で調達せざるを得なかった点に、ソニーの苦境が見て取れる。

ゴールドマンサックス証券がCBの株式部分を分離

さらに、ソニーの発行した転換社債をゴールドマンサックス証券が加工することで、思わぬ問題が浮上している。ソニーの転換社債が株式分離され新たな危険が生まれたのだ。
権利部分はSPCが保有するが、CBのもともとの投資家にCBを買い戻せる権利を新たに売却。投資家が権利を行使する際は、SPCが社債部分を購入者から買い戻し、もとのCBの形にして投資家に渡す。保有は複数の投資家に分散しており、議決権が10%を超すような大株主が登場することはないとみられる。
詳細な説明は、リンク先で行っているので、ご参照。

簡単にまとめると、ゴールドマンサックス証券が、ソニーが発行した転換社債を加工することで、最大10.5%分の転換社債分の株式を、大量保有報告書を提出せずに、見えない形で買い集めることができるようになっている点だ。

ソニーがCB1500億円を発行したが、その資金使途からソニーの苦境が見て取れる。ゴールドマンサックス証券が転換社債の加工を発表しており、思わぬ危険性も生まれている。ソニー社債個人向け発行の理由に続く。
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