ソニー出井改革の失敗(9)

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ソニー出井改革は失敗に終わりましたが、ヒット商品やイノベーションを潰す方向に持っていったことがソニーの長期低迷に繋がっています。出井氏がビルゲイツやダボス会議で語った内容と、現在のソニーはかなり差があるように見えますね。

ソニー出井元社長

ソニーの出井社長(当時)といえば、ソニーの業績と比較して、ソニー社外で評価の高かった人物として有名ではないでしょうか。ソニーの出井氏はダボス会議で世界の要人と議論を交わすなど、世界的に名前の知られた経営者の一人として有名です。

出井氏に対する批判としては、ソニー後継者の人選の失敗や組織改革の失敗により、ソニーのヒット商品開発力が喪失したとの指摘があります。日本経済新聞2012年10月5日を見てみましょう。

出井とビルゲイツが未来を語る

1998年6月16日。成田空港に近いゴルフ場グレンオークス・カントリークラブに1機のヘリコプターが舞い降りた。
降りてきたのは米マイクロソフト会長のビル・ゲイツ(56)。出迎えたのはソニー社長(当時)の出井伸之(74)。2時間でハーフ9ホールをプレーするとゲイツは再びソニーが用意したヘリで次の目的地へ向かった。ラウンド中の話題はデジタル放送の未来だった。
マイクロソフトのビルゲイツ氏にとって1998年は、ウインドウズ98が7月に発売された年であり、その1ヶ月前にゴルフをしていた出井氏は、ただものではないことが分かります。

ソニーの出井氏は、ビルゲイツとデジタル放送の未来を語っていたようです。ソニーのエレクトロニクス事業を見ると、ソニー平井社長はテレビリストラ(6)に社長就任前に追われていた時期があり、出井氏とソニーの現状は一致していないですね。

ダボス会議で国際標準規格について提唱

その4カ月前、出井は各国政財界の大物が集まるダボス会議(スイス)で「ソニーはデジタル家電時代の国際標準規格を提唱したい」とぶち上げた。社長・会長の10年間、出井の言動には派手な演出がついて回った。 
バブル経済崩壊の後遺症で日本の経営者の多くが弱気になっていたこの頃、自信満々の出井は輝いて見えた
出井氏は、ダボス会議で国際標準規格について提唱しています。国際標準規格が決まる方法については、2種類があります。
  • デファクトスタンダード 競争による標準規格の決定
  • デジュリスタンダード 協調による標準規格の決定
企画競争には、それぞれ一長一短がありますが、出井氏がソニー主導で国際標準規格を各国要人の前で提唱している姿は、ソニーの勢いを感じる発言ですね。

ソニー組織改革の失敗

米国流のコーポレートガバナンス(企業統治)を取り入れた執行役員制度、現場の丼勘定を許さないEVA(経済付加価値)による利益管理、生産部門をEMCSと名付けて子会社化してコストを下げる仕組みなど、一連の施策は「出井改革」と称賛された。
ソニーのコスト管理の徹底は、ヒット商品が生まれなくなった元凶として評判が悪い事をご存知の方は多いのではないでしょうか。
  • Googleが勤務時間の20%を自分のプロジェクトに使う
  • GEの密造酒作りと呼ばれる、業務外の活動
  • 3Mのポストイット
イノベーションを起こし続けて、競争力を高め続けている企業は、社員に業務外で自由に開発のできる時間を設けたり、お目こぼしをする体制を作っています。

ソニー出井改革は、組織変更でヒット商品やイノベーションを潰す仕組みに持っていったのですから、ヒット商品が生まれず大失敗であったと指摘されても仕方がないですね。ソニー不調理由は御用学者とEVA(10)に続く。
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