(1)ソニー社債の動向
ソニーは、転換社債を発行することにより1500億円の資金調達を行いました。ソニー社債の資金使途の中には、オリンパスへの出資などの投資に加えて、既存の社債の償還原資が含まれていました。ソニー格付が、倒産危機を意識している水準まで低下しており、通常の社債の発行が困難になった可能性が指摘されていました。ソニー社債の価格に注目が集まっていましたが、値上がりが急ピッチに進んでいるようです。
(2)ソニー転換社債が急騰
ソニー社債の価格が急騰していることについて、1月24日のブルームバーグが報じているので、見てみましょう。ソニーの転換社債(CB)は起債から10週間で27%上昇した。昨年は全体の発行額が7年ぶりの低水準にとどまったCBがにわかに投資家の関心を集めている。
野村ホールディングスのデータによると、同社のゼロクーポンCB(1500億円)は発行条件が決まった昨年11月14日の101.6円から、128.8円に上昇した。ソニー社債の価格が急騰していることが、野村証券のデータから分かりますが、社債市場の動向とその理由について見てみましょう。
(3)転換社債の市場動向
同期間の日本企業のCBの上昇率8.7%の3倍強の上げ幅となり、世界の企業全体では6.5%だった(いずれもUBS調べ)。
ブルームバーグの集計データによると、昨年の日本のCB発行額は前年比15%減の2800億円で、2005年以来の低水準にとどまった。証券会社にとって、転換社債市場の低迷は収益機会の喪失に繋がります。ソニー社債の成功で、証券会社が他社への営業に成功すれば、証券会社の業績にもプラスに働きそうですね。
- ソニー 転換社債上昇率 27%
- 日本企業 転換社債上昇率 8.7%
- 世界 転換社債上昇率 6.5%
(4)株高でソニー転換社債の価格上昇
安倍晋三首相がデフレ脱却に向けて大胆な金融政策を日銀に求める方針を打ち出したのを受けて、TOPIXは週間ベースで10週連続で上げ、1986年以来、最長の上昇記録となった。株高につれて、ソニーのCBも値を上げている。
バークレイズによると、今年、償還を迎えるCBは最大で140億ドル(約1兆2300億円)に上る見通しで、その分、発行余地が生まれることになる。ソニー転換社債は株価上昇で、値上がりしているようですね。転換社債は、株価を一定の価格で株式に転換する権利のついた社債ですので、株価が上昇すれば値上がりします。
証券会社が、ソニー株価の予想を引き下げましたが、見事に外れていますね。証券会社やアナリストを含めて、株価の予想は難しいと言われていますが、ソニーの場合はその典型例かもしれないですね。
(5)株価上昇と政権交代の影響
安倍氏が講演で、日銀に対し無制限の金融緩和を求めた前日の昨年11月14日から、これまでにTOPIXは22%上昇。ソニー株は同じ期間に32%高の1146円となった。
ソニーのゼロクーポンCBは転換価格が1株当り957円と、発行条件が決まった昨年11月14日の終値(870円)を10%上回る水準に設定されている。ソニーの株価は、円安による期待感から上昇を続けています。為替レート円安の影響について、管理人が簡単に計算したところ、数千億円の効果があります。
為替レートは依然として円高水準であり、さらなる増収増益の可能性もあるかもしれません。ソニーの業績への影響を考えると、為替予約をかなり行っていますので、為替レートが円安になった増収増益効果は来期以降大きくなると思います。
ソニー社債が高い水準で推移していますが、転換社債の発行額の増加により、市場に厚みがでるのかどうか注目したいと思います。 スポンサードリンク
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