ソニーの格下げ
ソニー生命の格付けをMoody'sが11月14日格下げした。ソニーは倒産危機の格付であるとされたが、ソニー生命についても、その理由をみると、影響がでていることが分かる。では、Moody'sのレポートを見てみよう。
ソニー生命の格下げ
2012年(平成24年)11月14日、東京、ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下「ムーディーズ」)は、ソニー生命保険株式会社(ソニー生命)の格付の見通しを安定的からネガティブに変更した。ソニー生命の格付見通しの悪化は、ソニーは倒産危機の格付であると格下げしたのに伴うものである。いわゆる、親会社調整とみなせるであろう。
また、ムーディーズはソニー生命の保険財務格付Aa3 を確認した。
見通しの変更は、ムーディーズが11 月9 日にソニー株式会社(ソニー)の格付をBaa2 からBaa3 に格下げし、また、見通しをネガティブとしたことに伴うものである。
その指摘の理由は、ソニーの全ての子会社に対して、影響を及ぼすようなメッセージ性がある。
子会社ブランドの悪化
ムーディーズの指摘まとめ
では、ムーディーズの指摘理由を見てみよう。- ソニーの子会社である
- ブランドを共有している
- そのため、ソニー格下げの影響を子会社も受ける
(1)ソニー生命はソニーの子会社である
ソニー生命は東京証券取引所に上場しているソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(SFH)の子会社であり、最終親会社はソニーである。これは、ソニーとソニー生命の資本関係について説明している。
(2)ブランドを共有している
強固な資本基盤と堅調な業績を有するソニー生命の信用力は、ソニーからある程度は切り離されているものの、ブランドを共有していることを考えると、最終親会社の継続的な信用力の悪化と全く無関係であるとはいえないとムーディーズは考えている。ソニー生命の名前に「ソニー」とついていることを考えれば、ソニーブランドの影響力とは無関係にはいられない。これも、納得できる話ではなかろうか。
(3)ソニーの格下げが影響
したがって、Baa3 が投資適格において最低水準であることを勘案すると、ソニーの投機的水準への格下げが現実のものとなった場合は、ソニー生命の信用力にはネガティブとなる。ソニーの投機的水準への格下げによる、信用力低下を意識しての処置であることが分かると思う。「整合」という文言から、事実上の親会社調整であることが分かるだろう。
こうした観点から、ムーディーズはソニーの見通しネガティブと整合させるために、ソニー生命の見通しをネガティブに変更した。
ソニー生命の経営は安定していると判断
資本基盤が良好
ムーディーズはまた、上述のとおり、ソニー生命の格付Aa3 を確認した。これは、ソニー生命の強固な資本基盤、リスク資産の保有が少ないことによる高い資産の質、そしてコンサルティングセールスと収益性の高い死亡保障への特化による保険料収入の継続的な伸びを反映したものである。ムーディーズは、ソニー本体の財務悪化は指摘しているが、ソニー生命自体の安定性について言及している。下記にまとめる。
- 強固な資本基盤
- リスク資産の保有が少ない
- 収益性の高い死亡保障への特化
- 保険料収入の継続的な伸び
安定した経営基盤
また、Aa3 の格付は着実に基礎利益を生み出し、厳格なリスク管理方針に従っているソニー生命の安定した経営基盤を反映したものである。上記の文言から財務規律が保たれていることが分かる。
ソニー生命の格付け見通しの悪化は、ソニー本体の格下げのあおりを受けた形だ。財務体質は強固であるが、「ソニー」ブランドの動向に注視が必要ということではないであろうか。 スポンサードリンク
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