(1)ソニーとJUKIが新会社設立
ソニー子会社とJUKIが新会社に事業移管
ソニーとJUKIの提携について、ソニーが2013年02月06日に実装機器及びその関連事業の統合に関する意向確認書を締結を発表しているので見てみましょう。JUKI株式会社(以下、JUKI)とソニー株式会社(以下、ソニー)は、JUKI並びにソニーの100%子会社であるソニーイーエムシーエス株式会社それぞれが運営する実装機器及びその関連事業の競争力強化を目的とし、新たに設立する会社(以下、新会社)の下に、両社が該当する事業を統合するための検討を進めることに合意し、法的拘束力を有しない「意向確認書」を締結しました。ソニーとJUKIが、両社のホームページで提携を発表しています。その内容についてまとめると以下のようになります。
提携内容まとめ
- ソニーの子会社とJUKIが新会社を設立
- 新会社設立は2013年9月まで
- JUKIが3分の2以上の株式を保有
- ソニーイーエムシーエスとJUKIが関連事業を、新会社の下で事業統合
- 意向確認書を締結したが、法的拘束力は無い
ソニーとJUKIの提携で特徴的なのは、JUKIが株式をソニーよりも多く保有する点ではないでしょうか。
(2)ソニーとJUKIの出資比率に違和感
新会社は両社からの出資により設立され、JUKIが3分の2以上の株式を保有するものとなる予定です。
今後、両社は、法的拘束力を有する確定契約を締結した上で、関係当局の必要な承認及び認可の取得を条件として、本事業統合を2013年9月までに実施することを目途に協議してまいります。ソニーとJUKIは、法的拘束力はないものの、2013年9月までに実施する目標のようです。
ソニーはリストラを進めていますが、合併の対象となるソニーシーエムエスもリストラを進めています。管理人の推測ですが、ソニーがJUKIと子会社の関連部門を統合するのは、リストラが目的ではないでしょうか。
(3)ソニー子会社のほうが企業規模は大きい
ソニー子会社のソニーイーエムシーエスとJUKIの売上規模を比較すると、ソニーの方が出資比率が低い点が不自然です。ソニー子会社とJUKIの関連事業の事業規模が違う可能性はありますが、企業規模を比較しましょう。
(4)ソニー子会社とJUKIの企業規模比較
ソニーイーエムシーエス会社概要
- 売上高 1兆6009億円(2011年度実績)
- 社員数 5,922人(直接雇用者、2012年10月1日現在)
- 資本金 1億円(100%ソニー(株)出資)
(5)JUKI会社概要
YafooファイナンスのJUKI会社概要から抜き出したのが上記です。JUKIは東証一部上場企業の優良企業ですが、企業規模ではソニーの子会社に劣ります。
(6)提携の理由はリストラか
JUKIの事業特色は、ミシンは世界市場で高いシェアであり、縫製機器部門が会社の主力事業です。パナソニック子会社売却が派遣会社テンプスタッフの理由は、リストラの一環でありテンプスタッフのほうが出資比率が高い事が分かります。
ソニーはJUKIと提携する事は、リストラが目的ではないでしょうか。統合する部門によりますが、JUKIにとっても本業に集中できる効果があるのかもしれないですね。
(7)ソニーとJUKIの実装機の強み
ソニーとJUKIの特徴と提携理由について、2013年2月6日の日経新聞が報じているので、追記します。
中低速型の実装機に強いJUKIと、ソニーの100%子会社で高速型の実装機に強いソニーイーエムシーエス(東京・港)の実装機事業を統合する。(日経)ソニーイーエムシーエスとJUKIの実装機部門の強みは、違いがあるようです。
- 実装機事業を統合
- ソニーイーエムシーエス 高速型の実装機に強い
- JUKI 中低速型の実装機に強い
(8)ソニーとJUKIの経営環境
JUKIは主力の工業用ミシンが新興国での販売不振などで苦戦。12年12月期は最終赤字となる見通しで、売り上げの4分の1程度を占める産業装置部門(実装機を含む)の事業見直しも課題になっていた。(日経)
ソニーは本業と相乗効果の少ない事業部門を見直して事業の集中と選択を加速する戦略を進めており、その一環としてJUKIとの事業統合に踏み切る。(日経)ソニーとJUKIの経営環境については、上記の通りです。
- ソニー事業の選択と集中
- JUKI産業装置部門の事業見直し
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